マルカに《直観》をタッチする独創性の素晴らさをお解かり頂けたでしょうか? ともすればその点の目新しさに注目されがちですが、更にこのデッキの凄いところは、低マナ域生物の選択の審美眼にもあります。

PTコロンバス、5DNと神河物語の入った最初のエクテン環境です。前評判で《永遠の証人》《桜族の長老》は評価が高かったとは言え、マルカには鉄板ともいえる《極楽鳥》《花の壁》《ヤヴィマヤの古老》が居ました。これらの3マナ以下生物をどのような組み合わせで選択するか、この時期にエクテンをやっていた方なら試行錯誤のほどはご存知でしょう。

我輩なんぞは物体系デッキビルダーですので、「《証人》《古老》の3マナ域計8枚は確定だから、マナ生物8必要で《ラノワールのエルフ》4枚《極楽鳥》4枚がこれからの常識だね」などと、いま思うと赤面モノの思考をしておりました。

実際、プロたちの間でもこの時期は萌芽的研究期間であったらしく、コロンバス時点での統一的な見解は成されていません。例として、日本が誇る石田格プロ、有名なマルカ使いジェロン・レミィ(Jeroen Remie)、マルカ使い最上位(11位)のトゥイフェル・トーバンの3マナ以下生物の構成と比較してみましょう。

ナジフ
 4《極楽鳥/Birds of Paradise》
 4《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》
 4《花の壁/Wall of Blossoms》
 3《永遠の証人/Eternal Witness》

石田プロ
 4《極楽鳥/Birds of Paradise》
 4《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》
 4《永遠の証人/Eternal Witness》
 4《ヤヴィマヤの古老/Yavimaya Elder》

ジェロン・レミィ
 4《極楽鳥/Birds of Paradise》
 4《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》
 3《永遠の証人/Eternal Witness》
(4《ファイレクシアの抹殺者/Phyrexian Negator》)
(3《トロールの苦行者/Troll Ascetic》)

トゥイフェル・トーバン
 4《極楽鳥/Birds of Paradise》
 4《花の壁/Wall of Blossoms》
 4《永遠の証人/Eternal Witness》


見事にバラバラでしょう? その中で、ナジフの構成が如何に優れていたかを証明するために、シーズン4ヶ月経過後のマルカと比べてみます。GPシアトルで見事優勝を飾り、マルカ復活の狼煙を上げたアーニー・マルケサノのマルカです。
アーニー・マルケサノ
 4《極楽鳥/Birds of Paradise》
 3《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》
 1《萎縮した卑劣漢/Withered Wretch》
 4《花の壁/Wall of Blossoms》
 3《永遠の証人/Eternal Witness》
(2《トロールの苦行者/Troll Ascetic》)


如何ですか。メタ的な多少の相違はあるものの、基本構造はナジフの構成とそっくりですね。素晴らしい、実に素晴らしいです。PTコロンバスの時点で、旧来のマルカで常識とされていた《ヤヴィマヤの古老》をバッサリ切り落とした構成にまで辿り着いているとは! このようなメタ的な慧眼には感嘆せざるを得ません。

(※注:この考察はメタ初期における選択肢の多様性と選択の困難さを推し量る例として挙げたもので、特定の個人を批判する意図ではありません。つまり何が言いたいかといいますと「ぶっちゃけ、この時期なら間違っててもしゃーない、合ってるほうがすげー」ってことです。)

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