| メイン |
白緑ジャンク その?
2006年11月5日 スタンダード コメント (8)11月1日の日記↓の続きです
白緑ジャンク その?
http://diarynote.jp/d/60094/20061101.html
「デッキ名について」
デッキをカテゴライズするにあたって、デッキ名ってけっこう重要だよね。願わくば、名前を聞いただけでどんなデッキか想像がつくのが望ましいわけだ。今回のデッキでは、既存のセレズニアと差別化を図るため“白緑テンポ”と苦し紛れに書いちゃったけど、これはあまり良くなかった。UGテンポなどの例を見るとおり、“テンポ”ってネーミングには「バウンスしながら、こちらのクロックを展開する」ってニュアンスがあるから。
じゃあ、どんなデッキ名にすりゃ良かったか?
マジックの歴史を紐解くと「クズみたいな安いカードでテンポビートする」って戦略にぴったりのデッキ名が合った。それが“ジャンク”だ。現在のカードプールでもオーレ・ラーデの白赤ジャンクに非常に近いものが組めるにも関わらず、どう組んでも“ボロス”と呼ばれてしまうだろう。ならばこそ、このデッキを“白緑ジャンク”と呼んでも差し支えないんじゃないかと思ったわけだ。っちゅうわけで、以後“白緑ジャンク”と勝手に名乗ることにする。
とまぁ、興味の無い人にはホントにどーでもいいような余談は置いといて、本編行ってみよう。
「思考経過報告」
調整前のレシピと、選手権に持って行ったレシピ、具体的な変化は下記の通りだ。
《腐れ蔦の外套》 → (《酷寒の枷》 → )《時間の孤立》何故こうなったのか、順を追って説明して行こう。
《ラノワールのエルフ》 → 《アイケイシアの投槍兵》
《巨大化》 → 《狩りの興奮》
《冠雪の平地》 → 《トロウケアの敷石》&《平地》
《冠雪の森》 → 《ペンデルヘイブン2枚目》&《森》
《腐れ蔦の外套》 → 《酷寒の枷》 → 《時間の孤立》
○《腐れ蔦の外套》OUT
確かにこのカードは強い。ただ、このデッキではテンポ的に被るスロットが非常に多いわけだ。で、そんなカードがデッキに大量に入っていても全部付けられる訳じゃないので、どれか切る必要があった。被るカードである《グリフィンの導き》や《岩石樹の祈り》と比較して、このカードが一番微妙だった。
というのは、デッキの性質上ブロッカーを排除できるわけでもなく、ただ愚直に殴るだけなので、チャンプで凌がれやすい欠陥が顕わになっちゃったからだ。マトモに地上でぶつかっていては、セレズニアに凌がれちゃうのは明白。どうにもこうにも「動きがモッサリしている」感が否めなかった。
で、相手をワンテンポ遅らせれば殴り値が足りる状況ってのがけっこうあることに気付いた。《教主》出されても、ブロッカーに使われなきゃライフ削り切れるとか、そういう場面だ。なので、サイドに入ってた《酷寒の枷》をメインに移してみたら、想像通りイイ働きをした。前述の《教主》に付けるとかで、テンポが稼ぎ易くなったんだ。よし、これで、と思ってた矢先、リミテッドでの経験から更なる上位互換を発見することになる。
○《時間の孤立》IN
そう、この《時間の孤立》こそ、僕のデッキに欠けていたマスターピースであり、近年の《平和な心》系の中でも特筆すべき強力さを持ったカードだった。(個人的には、単純なカードパワーとしては《信仰の足枷》すら凌駕していると思う)。
構築屋な方々にはまだあまり馴染みの無いカードだろうから、その機能から説明しよう。
Temporal Isolation / 時間の孤立 (1)(白)2番目の文章。シャドーを持つことで、シャドー以外の生物をブロックできなくなる。つまり、自分のデッキにシャドー生物を入れなければ、実質的に“ブロックに参加できない”状態にするわけだ。
エンチャント ― オーラ(Aura) Time Spiral,コモン
瞬速(あなたはこの呪文を、あなたがインスタントをプレイできるときならいつでもプレイしてもよい。)
エンチャント(クリーチャー)
エンチャントされているクリーチャーはシャドーを持つ。(それは、シャドーを持つクリーチャーのみブロックでき、シャドーを持つクリーチャーによってのみブロックされる。)
エンチャントされているクリーチャーによって与えられるダメージを0に軽減する。
Illus.Stephen Tappin (43/301)
Wisdom Guild様より引用
3番目の文章。ダメージを与えられなくなるわけだから、アタックしても意味が無い。つまり、この組み合わせにより、《平和な心》とほぼ同等の機能が得られているわけだ。
これだけなら凡百なカードなんだけど、このカードには付随効果が2つある。
1つは瞬速が付いていること。インスタントとソーサリーの例を見れば明白な通り、一般に、インスタントタイミングで動けるだけで評価がガラッと変わる。特に“除去”というリアクティブなスロットは、マナが余ってる時に付けられた方が断然強い。
2つ目は、“戦闘以外のダメージも軽減する”ということだ。リミテッドで《ヤヤ・バラード》に付けられて愕然とした人も多いと思うけど、能力によるダメージも軽減してくれるのは偉大だ。特に白はシステム生物に触れにくいので、《巻物の大魔術師》を封じてくれるこのカードは値千金だ。
そうそう、この2つが組み合わさってることで、ちょっと有名なトリックをご紹介。実はこのカード、《ボガーダンのヘルカイト》の“5点火力能力”すら軽減できるって知ってた? 場に出たときの誘発型能力は、誘発すると発生源から切り離されるけど、発生源が《ヘルカイト》なことには変更が無い。だから、5点は軽減されて0になる、と。
《ヘルカイト》があちこちを飛び回っている現在のスタンダード環境では、《時間の孤立》の強さにいっそう拍車をかけてるわけだ。ほぼ完璧な白除去として、《時間の孤立》はこれからよく目にするカードになると思う。
《ラノワールのエルフ》 → 《アイケイシアの投槍兵》
○《ラノワールのエルフ》OUT
オデッセイ時代からの癖で、《エルフ》と《獣群の呼び声》をセットで考えてる節があった。2ターンに3/3呼べたら超強いじゃん、と。でも、このデッキには優秀な2マナ圏が多く、2ターン目に《獣群》とキャストして有効なシーンが少なかった。気が付くと、《エルフ》はほぼアタック専用になってたわけだ。じゃあ別の生物で良いじゃん、と。
○《アイケイシアの投槍兵》IN
1回限定のティム能力を持つピンピン生物。たったそれだけなのに、こんなに強いなんて! 《極楽鳥》を撃ち落して展開を削いだり、ブロックできないクロック《サルタリーの僧侶》や《ヤヴィマヤのドライアド》を殺したり、時には相手本体に撃って《スカルガンの穴潜み》を狂喜させたり。不器用な白緑という色だからこそ、こういう小回りの利くカードってのは有り難いわけだ。
《巨大化》 → 《狩りの興奮》
○《巨大化》OUTと《狩りの興奮》IN
当初は別にこの2つをコンパチなスロットとは考えてなかった。対ビートダウンなら両方使いたいしね。だから、より効果の大きい《巨大化》をメインに、ビートダウン相手に有効な《狩りの興奮》をサイドに入れてた。
でも、《巨大化》は少しオーバースペックだった。このジャイグロ系カードは相手のライフを削るために使うことは稀で、接触戦闘時に使うとか、オーラ付けるのに対応した火力に合わせたりとか、そういうのが主な使い方なわけだ。なので+3/+3は無駄が多いなぁとちょっと思ってた。
で、青赤氷雪コンとスパーしてる時に、サイドボードで《巨大化》と《狩りの興奮》を入れ替えたことがあった。だって、相手の《鉄足》にこっちの3/3突っ込ませる時に、《巨大化》だとカウンターされたら目も当てられないじゃん。だからFB込みで2発撃てる《狩りの興奮》に替えてみたんだ。
で、「青相手にすら《狩りの興奮》の方が強いんなら、メインの《巨大化》は全部《狩りの興奮》でいいじゃん」ってことを一緒にプレイテストしてた面々に話したら「今更そんなことに気付いたんですか。カバ雄さんは本当にマジックが下手くそですね、ニヤニヤ。」と同意されたので、差し替えた次第。このおかげで、サイドボードがだいぶ広く使えるようになった。
《冠雪の平地》 → 《トロウケアの敷石》&《平地》
《冠雪の森》 → 《ペンデルヘイブン2枚目》&《森》
○《冠雪の平地》OUTと《トロウケアの敷石》&《平地》IN
デッキから《酷寒の枷》が抜けたことで、氷雪土地を使うメリットがなくなった。また、1マナ域の白い生物の増加により、マナベースを若干だけ白にシフトした構成に変える必要があった。で、バランスをいじる際に《トロウケアの敷石》を追加したわけだ。
じゃあ《敷石》が4枚じゃなくて3枚な理由は何か? 圧縮効果を期待するなら普通は4枚にするよね。3枚という枚数には「1枚は引きたいけど、2枚目はあまり引きたくない」というニュアンスがある。1枚は引いておきたい理由、それは即ち《燎原の火》耐性を上げたいからに他ならない。
○《冠雪の森》OUTと《ペンデルヘイブン2枚目》&《森》IN
まぁ《ペンデルヘイブン》を2枚入れた理由、って部分についての説明だね。僕のジャンクは、デッキの1/1の枚数を考えると、かなり《ペンデルヘイブン》を有効に使えるデッキではある。でもそれ以上に重要なのが「相手の展開を遅らせられる可能性があること」だ。
神河の伝説土地と違って、このカードは先置きしない理由があまり無い。で、先に置くと、相手の手札に《ペンデルヘイブン》が在った場合、マナを出せずに墓地に置かれてしまうことになる。これは、相手のテンポを削いでるわけで、展開の速いデッキにとっては大きなアドバンテージなわけだ。もちろん、こんなことで相手が致命傷になることは少ないけど、展開を優先して《デュアルランド》をアンタップインしてくれたり、《ダメージランド》から1点喰らったりして、少しでもライフが削れるだけでご利益がある。
うぉ。まだまだ書きたいことがるけど、そろそろGPT行く準備しなきゃ。というわけでその?に続く。
1月6日の日記↓に続きます
白緑ジャンク その?
http://diarynote.jp/d/60094/20070106.html
| メイン |
コメント
白系のビートダウンでは使ったことがありませんが(《サルタリーの僧侶》がブロックされるようになってしまう)、ロックスに入れて使ったときはこれが本当に白のカードかって思うくらいの使い勝手のよさでした。
カバ雄さんの挙げられた《ボガーダンのヘルカイト》のほかにも《怒りの天使アクローマ》が止まるのが大きいです。
レジェンドは普通に除去するよりも場に固めてしまった方が有効ですから。
なるほど、こういうこと気づかないのがまだまだリミテッドでも勝ちきれない要因なのだなと猛省。こういったトリックに気づいていれば勝てたり、まさに無知は悪ですな。
言われてみると納得です。
?も楽しみにしてます!
《時間の孤立》の瞬速には今日もずいぶん助けられました。
GP山形のサイドイベント用(後ろ向きw)にロックス調整してるんで参考にさせていただきます。
酷寒の枷、いいヒントを頂きました