エクステンデッドの動向?
2008年1月13日 Extended
【A2】
それでは、PTジャンクを分析してみよう。ここに挙げたのは、件のケンタッキー・オープンで見事に優勝し$1500を勝ち取ったレシピだ。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
PTジャンク
―――――――――――――――――――――――――
オーウェン・ターテンワルド / 2007-12-30時点のExtendedデッキ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
クリーチャー:23
4《極楽鳥/Birds of Paradise》
1《深き闇のエルフ/Elves of Deep Shadow》
4《タルモゴイフ/Tarmogoyf》
4《闇の腹心/Dark Confidant》
3《永遠の証人/Eternal Witness》
4《包囲の搭、ドラン/Doran, the Siege Tower》
3《ロクソドンの教主/Loxodon Hierarch》
スペル:15
4《陰謀団式療法/Cabal Therapy》
2《思考囲い/Thoughtseize》
2《燻し/Smother》
4《名誉回復/Vindicate》
2《不敬の命令/Profane Command》
1《金属モックス/Chrome Mox》
土地:22
4《樹上の村/Treetop Village》
1《死の溜まる地、死蔵/Shizo, Death’s Storehouse》
1《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb of Yawgmoth》
1《血染めのぬかるみ/Bloodstained Mire》
1《汚染された三角州/Polluted Delta》
4《吹きさらしの荒野/Windswept Heath》
2《寺院の庭/Temple Garden》
1《神無き祭殿/Godless Shrine》
2《草むした墓/Overgrown Tomb》
3《森/Forest》
1《沼/Swamp》
1《平地/Plains》
サイドボード:15
4《虚空の力線/Leyline of the Void》
3《破滅的な行為/Pernicious Deed》
3《梅澤の十手/Umezawa’s Jitte》
2《踏み吠えインドリク/Indrik Stomphowler》
2《ガドック・ティーグ/Gaddock Teeg》
1《思考囲い/Thoughtseize》
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
どのPTジャンクも、《包囲の塔、ドラン》および《ロクソドンの教主》、《永遠の商人》および《闇の腹心》、そして《タルモゴイフ》をそれぞれ3ないし4枚ずつ採用している。スペルとしては、《陰謀団式療法》と《名誉回復》が比較的固定されたスロットで、その他は流動的でありMTGO上では多種多様なバージョンが存在する。特徴的なものを挙げていくと、メインに装備品を採っていたり、《破滅的な行為》を使っていたりだ。除去のスロットは、今だに《燻し》が人気で、MTGOでよく見る《化膿》や《叫び大口》を押えてまで採用されている。マナベースとして特筆すべきは《死蔵》(ラ パイルは《翁神社》も併用してる)で、もちろん《ドラン》をバックアップするために入っている。
レシピを見てみると、《相殺》系デッキをかなり意識した構造なのがお分かりだろう。マナ加速によりマナ域をジャンプアップできるし、6枚もの手札破壊によってゴリ押しできる。なので、序盤の《相殺》に対しては「ポジション争奪戦」な状態となる。《独楽》&《相殺》が完成するのが先か、《タルモゴイフ》や《ドラン》で場を固めるのが先かの勝負だ。もし、相殺ゴイフ/青単/チャピン.decなどの相手が、見切り的に2ターン目タップアウトで《相殺》を張ってきても、こちらには2ターン目の《名誉回復》という解答が用意されている。万一、《独楽》&《相殺》ロックが完成されても、相手はそれを維持するマナを払い続ける必要があるわけだ。こちらの序盤の展開で、多少は相手のライフが減っているはずだし、ロックが極まった後の残り数点は《樹上の村》や《不敬の命令》で削り切ることが可能だ。サイドボード後は、《踏み吠えインドリク》を使えば、これをカウンターできるちょうど5マナのカードが有るのは稀なので、簡単に壊せるだろう。
他方、《ヴィダルケンの枷》もかなりの頭痛の種だ。《ドラン》は言うに及ばず、《タルモゴイフ》を除く他の生物も、このカードに耐性が無い。一応、手札破壊でバックアップして《名誉回復》するって手もあるが、序盤にもし壊せなかった場合、まさにお手上げだ。
対コントロールという視点に立つと、4枚の《樹上の村》を使ってるのが頼もしい。相手の対抗策として《尖塔のゴーレム》か《タルモゴイフ》あたりがあるが、逆にこれを引けてないと《樹上の村》を除去できるカードは少数であり、迅速にライフを削れるだろう。このデッキにおける《樹上の村》は序盤は純粋なマナソースであり、4ターン目以前に殴りに行くことはまず無いだろう。
《不敬の命令》は、今シーズンのPTジャンクおよびマルカ系デッキでの注目カードだ。あの手この手の解決策のあるけちマルカならそれほど重要じゃないが、もっとアグレッシブなマルカ系(PTジャンクなど)では、徐々にその使用数を増やしつつある。さて、では《不敬の命令》の利点とは? お答えしよう、確かに《不敬の命令》は《けちな贈り物》に比べてマナがかかるが、それを補って余りあるほど“即効性”があるのだ。目の前の脅威をどかすにあたり、《けち》のようにターンを跨いでしまうことが無いわけだ。
例えば、《不敬の命令》を4マナでキャストすれば、巨大な《タルモゴイフ》が甦り、相手の《闇の腹心》や《粗石の魔道士》を除去できるのだ。また、《永遠の証人》を対象にすることで、《不敬の命令》が手札に帰ってきて、延々と使い回すことだってできるんだ! どうだろう? ちょっと感動モノな動きだよね。
《不敬の命令》をX=4以上で撃てたなら、勝ったも同然だ。ライフロス&畏怖モードで迅速に相手を削りきってるだろう。
以下は、実際のゲームでの出来事だ。
もっとも、《不敬の命令》を効果的に使うには重さが気になり、それゆえデッキにそれほど多く入れることができない。なので《不敬の命令》を素直に評価できないのも頷ける。かく言う私も、このカードに対してかなり懐疑的だった。頭では《不敬の命令》が切り札となり得るのは分かっていたが、どうも机上の空論な気がしてならなかったのだ。しかし、実際にMTGOで使われてみて、また私自身がPTジャンクで使ってみて、このカードがアグロ型または中速度型のデッキの最も頼りになるトドメだと理解したのだ。
またMTGOでは、《叫び大口》もよく使われている。《タルモゴイフ》を殺す有効な手段だし、通常は《相殺》にも引っかからない。《桜族の長老》って選択肢も、例えば対ZOOで+2ライフと土地1枚に相当すると考えれば、かなり魅力的だ。そうそう、《桜族の長老》は生け贄能力が付いているという点で、発掘デッキの使う《黄泉からの橋》を対策できるわけだ。まさか今のメタで《虚空の力線》をメインから採ってたりはしないからね。
ここまでが、PTジャンクのいい側面だ。それじゃ、悪い側面も見てみよう。まず、対白暦伝は天中殺的な相性だ。相手がよっぽど引きが悪くない限り、たった6枚の手札破壊と《名誉回復》だけじゃ押さえ込めない。それに《ドラコ》的なコンボを内蔵してたら、干渉しようが無いのでキツイ。サイドボード後の《ガドック・ティーグ》で相手の出足を鈍らせ、《踏み吠えインドリク》で《不朽の理想》後の最初の脅威だけは何とかできるくらいか。
それと、対親和も相当厳しい。相手は最速4ターンで人を殺せるし、最低でも深刻な脅威を叩きつけている。ほとんどのPTジャンクはメインに《破滅的な行為》を採っていないし、サイドインしても《真髄の針》によって対処されてしまう。《禍汰奇》をサイドに置けるスペースがあるならかなり希望が持てるが、実際にはそんな専用サイドを用意するのは難しいだろう。昨今の親和は、《彩色の星》や《バネ葉の太鼓》で色マナを得やすく、《暗黒破》や《燻し》、《炎の印章》などの色付き除去を使い易くなっている。私は親和がどう進化しているかテストしたわけじゃないので確証が無いが、かなりバージョンアップしていると予想する。
それでは、PTジャンクを分析してみよう。ここに挙げたのは、件のケンタッキー・オープンで見事に優勝し$1500を勝ち取ったレシピだ。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
PTジャンク
―――――――――――――――――――――――――
オーウェン・ターテンワルド / 2007-12-30時点のExtendedデッキ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
クリーチャー:23
4《極楽鳥/Birds of Paradise》
1《深き闇のエルフ/Elves of Deep Shadow》
4《タルモゴイフ/Tarmogoyf》
4《闇の腹心/Dark Confidant》
3《永遠の証人/Eternal Witness》
4《包囲の搭、ドラン/Doran, the Siege Tower》
3《ロクソドンの教主/Loxodon Hierarch》
スペル:15
4《陰謀団式療法/Cabal Therapy》
2《思考囲い/Thoughtseize》
2《燻し/Smother》
4《名誉回復/Vindicate》
2《不敬の命令/Profane Command》
1《金属モックス/Chrome Mox》
土地:22
4《樹上の村/Treetop Village》
1《死の溜まる地、死蔵/Shizo, Death’s Storehouse》
1《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb of Yawgmoth》
1《血染めのぬかるみ/Bloodstained Mire》
1《汚染された三角州/Polluted Delta》
4《吹きさらしの荒野/Windswept Heath》
2《寺院の庭/Temple Garden》
1《神無き祭殿/Godless Shrine》
2《草むした墓/Overgrown Tomb》
3《森/Forest》
1《沼/Swamp》
1《平地/Plains》
サイドボード:15
4《虚空の力線/Leyline of the Void》
3《破滅的な行為/Pernicious Deed》
3《梅澤の十手/Umezawa’s Jitte》
2《踏み吠えインドリク/Indrik Stomphowler》
2《ガドック・ティーグ/Gaddock Teeg》
1《思考囲い/Thoughtseize》
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
どのPTジャンクも、《包囲の塔、ドラン》および《ロクソドンの教主》、《永遠の商人》および《闇の腹心》、そして《タルモゴイフ》をそれぞれ3ないし4枚ずつ採用している。スペルとしては、《陰謀団式療法》と《名誉回復》が比較的固定されたスロットで、その他は流動的でありMTGO上では多種多様なバージョンが存在する。特徴的なものを挙げていくと、メインに装備品を採っていたり、《破滅的な行為》を使っていたりだ。除去のスロットは、今だに《燻し》が人気で、MTGOでよく見る《化膿》や《叫び大口》を押えてまで採用されている。マナベースとして特筆すべきは《死蔵》(ラ パイルは《翁神社》も併用してる)で、もちろん《ドラン》をバックアップするために入っている。
レシピを見てみると、《相殺》系デッキをかなり意識した構造なのがお分かりだろう。マナ加速によりマナ域をジャンプアップできるし、6枚もの手札破壊によってゴリ押しできる。なので、序盤の《相殺》に対しては「ポジション争奪戦」な状態となる。《独楽》&《相殺》が完成するのが先か、《タルモゴイフ》や《ドラン》で場を固めるのが先かの勝負だ。もし、相殺ゴイフ/青単/チャピン.decなどの相手が、見切り的に2ターン目タップアウトで《相殺》を張ってきても、こちらには2ターン目の《名誉回復》という解答が用意されている。万一、《独楽》&《相殺》ロックが完成されても、相手はそれを維持するマナを払い続ける必要があるわけだ。こちらの序盤の展開で、多少は相手のライフが減っているはずだし、ロックが極まった後の残り数点は《樹上の村》や《不敬の命令》で削り切ることが可能だ。サイドボード後は、《踏み吠えインドリク》を使えば、これをカウンターできるちょうど5マナのカードが有るのは稀なので、簡単に壊せるだろう。
他方、《ヴィダルケンの枷》もかなりの頭痛の種だ。《ドラン》は言うに及ばず、《タルモゴイフ》を除く他の生物も、このカードに耐性が無い。一応、手札破壊でバックアップして《名誉回復》するって手もあるが、序盤にもし壊せなかった場合、まさにお手上げだ。
対コントロールという視点に立つと、4枚の《樹上の村》を使ってるのが頼もしい。相手の対抗策として《尖塔のゴーレム》か《タルモゴイフ》あたりがあるが、逆にこれを引けてないと《樹上の村》を除去できるカードは少数であり、迅速にライフを削れるだろう。このデッキにおける《樹上の村》は序盤は純粋なマナソースであり、4ターン目以前に殴りに行くことはまず無いだろう。
《不敬の命令》は、今シーズンのPTジャンクおよびマルカ系デッキでの注目カードだ。あの手この手の解決策のあるけちマルカならそれほど重要じゃないが、もっとアグレッシブなマルカ系(PTジャンクなど)では、徐々にその使用数を増やしつつある。さて、では《不敬の命令》の利点とは? お答えしよう、確かに《不敬の命令》は《けちな贈り物》に比べてマナがかかるが、それを補って余りあるほど“即効性”があるのだ。目の前の脅威をどかすにあたり、《けち》のようにターンを跨いでしまうことが無いわけだ。
例えば、《不敬の命令》を4マナでキャストすれば、巨大な《タルモゴイフ》が甦り、相手の《闇の腹心》や《粗石の魔道士》を除去できるのだ。また、《永遠の証人》を対象にすることで、《不敬の命令》が手札に帰ってきて、延々と使い回すことだってできるんだ! どうだろう? ちょっと感動モノな動きだよね。
《不敬の命令》をX=4以上で撃てたなら、勝ったも同然だ。ライフロス&畏怖モードで迅速に相手を削りきってるだろう。
以下は、実際のゲームでの出来事だ。
PTジャンク側の土地は場に6枚、手札に1枚。4/5の《タルモゴイフ》をコントロールしていてライフは8だ。
相手はRemi.dec(相殺独楽ゴイフ)で、5枚の土地と《相殺》と《独楽》、《真髄の針》(《破滅的な行為》を指定)、そしてトークンを1体引き連れた《メロク》と《粗石の魔道士》をコントロールしている。ライフは15点も残っていた。
ジャンク側は《不敬の命令》をキャスト。墓地の《永遠の証人》を回収しつつ、《メロク》を殺した。レスポンスで《メロク》のトークンが4体出て、《独楽》用に1マナオープンな状態となった。《証人》により《不敬の命令》が手札に返ってくる。《タルモゴイフ》が殴り、スルーされてライフは11。
返しのターンで、どうパンチしても7点しか削れないので、数体の飛行アタックの後、ゴー。さて、ここで7枚目の土地を置いて《不敬の命令》。5ライフルーズさせ、畏怖のついた《タルモゴイフ》と《証人》により、勝利をもぎ取った。
もっとも、《不敬の命令》を効果的に使うには重さが気になり、それゆえデッキにそれほど多く入れることができない。なので《不敬の命令》を素直に評価できないのも頷ける。かく言う私も、このカードに対してかなり懐疑的だった。頭では《不敬の命令》が切り札となり得るのは分かっていたが、どうも机上の空論な気がしてならなかったのだ。しかし、実際にMTGOで使われてみて、また私自身がPTジャンクで使ってみて、このカードがアグロ型または中速度型のデッキの最も頼りになるトドメだと理解したのだ。
またMTGOでは、《叫び大口》もよく使われている。《タルモゴイフ》を殺す有効な手段だし、通常は《相殺》にも引っかからない。《桜族の長老》って選択肢も、例えば対ZOOで+2ライフと土地1枚に相当すると考えれば、かなり魅力的だ。そうそう、《桜族の長老》は生け贄能力が付いているという点で、発掘デッキの使う《黄泉からの橋》を対策できるわけだ。まさか今のメタで《虚空の力線》をメインから採ってたりはしないからね。
ここまでが、PTジャンクのいい側面だ。それじゃ、悪い側面も見てみよう。まず、対白暦伝は天中殺的な相性だ。相手がよっぽど引きが悪くない限り、たった6枚の手札破壊と《名誉回復》だけじゃ押さえ込めない。それに《ドラコ》的なコンボを内蔵してたら、干渉しようが無いのでキツイ。サイドボード後の《ガドック・ティーグ》で相手の出足を鈍らせ、《踏み吠えインドリク》で《不朽の理想》後の最初の脅威だけは何とかできるくらいか。
それと、対親和も相当厳しい。相手は最速4ターンで人を殺せるし、最低でも深刻な脅威を叩きつけている。ほとんどのPTジャンクはメインに《破滅的な行為》を採っていないし、サイドインしても《真髄の針》によって対処されてしまう。《禍汰奇》をサイドに置けるスペースがあるならかなり希望が持てるが、実際にはそんな専用サイドを用意するのは難しいだろう。昨今の親和は、《彩色の星》や《バネ葉の太鼓》で色マナを得やすく、《暗黒破》や《燻し》、《炎の印章》などの色付き除去を使い易くなっている。私は親和がどう進化しているかテストしたわけじゃないので確証が無いが、かなりバージョンアップしていると予想する。
コメント