特集:《亡霊の牢獄》をプロパガンダする 第1回
2005年1月9日 スタンダードこんばんわ。空想科学理論研究家のカバ雄です。今宵もソリューションという名の妄想をお茶の間にお届けいたします。
テーマは「現代メタゲームにおける《亡霊の牢獄》の有効性」についてです。前回の放送では、ファイナルズ後のメタゲームの変遷を妄想予測しましたが、今回はその応用編となります。
現状のメタ内デッキを調査してみると、『フィニッシュを大量アタックに頼っている』という特徴が浮かび上がってきます。緑コンの《創造の標》《粗野な覚醒》しかり、ワークスの《マイアの保育器》、青コンの《曇り鏡のメロク》などなどですね。メタの本命たる親和も、主な勝利パターンは序盤の大量展開によるテンポアタックです。
では、このようなメタゲーム環境において、《亡霊の牢獄》の有効性を検証してみましょう。
まず、対親和では《亡霊の牢獄》+《機械の行進》ロックは明確な勝ちパターンとして成立します。《亡霊の牢獄》の欠点として、「高パワー生物による一点突破に弱い」点が挙げられますが、対親和での《頭蓋囲い》の存在は非常に脅威的です。しかし、《機械の行進》により《頭蓋囲い》が生物化してしまうので装備が成立しません。また、《機械の行進》のマナロックにより土地が伸びませんので、《亡霊の牢獄》によるロックが緩むこともありません。よって、即座に親和を投了に追い込める程のインパクトをもたらします。
では、対緑コンではどうでしょう。《亡霊の牢獄》は相手の《粗野な覚醒》を完全な無駄カードに追い込み、《創造の標》の効果も半減させます。マナソースが豊富な緑コンでは、それでも《亡霊の牢獄》を乗り越えて生物の突破を許してしまうかもしれませんが、緑コンの生物は1匹1匹の粒が小さく、致命的な打撃にはなりません。不死生物化した《ダークスティールの鋳塊》や《清純な生物》によるブロックで簡単に凌げます。
対ワークスでは、あまり《マイアの保育器》までつながれるのを許してしまうのもアレですが、トークンによるフルアタック戦略は《亡霊の牢獄》→《神の怒り》で対処できます。
このような検証から、《亡霊の牢獄》はメタゲーム上非常に有効であると評価できるのではないでしょうか。
それでは、有効性が確認できたところで実際にデッキの設計に入りましょう。
まず、ベースとなるのは、過去に何度か取り上げた青白DS抹消です。マイコシンス型でない理由は、緑の隆盛を鑑みてアーティファクト破壊に脆弱な要素を取り除きたかったからです。そう、アーティファクト破壊の対象を一切入れないことにより、相手の《酸化》《ヴィリジアンのシャーマン》を潜在的に無駄カードに仕立て上げる戦略です。
ある程度ベースが固まっているデッキですので、あまり弄るところは在りませんが、変更点として重要なのがフィニッシャーの選定です。過去の青白DS抹消はフィニッシュを《機械の行進》+《ダークスティールの鋳塊》コンボに頼ってましたが、《頭蓋の摘出》で《機械の行進》を抜かれる可能性を考えると非常に危険です。よって追加のフィニッシャーを3枚程度用意するのですが、ここは、ファイナルズの大磯さんの青赤ノン抹消を倣って、生物2+《袖の下》1という構成にしてみます。生物の部分は、対緑において《北の樹の木霊》すら受け止めるスペックを買って《清純な天使》を選びました。《曇り鏡のメロク》も魅力的(メロク的?)ですが、《抹消》との相性の悪さを苦慮して不採用となりました。
あとは《抹消》の枚数の決定を行いましょう。過去の事例を紐解くと、2枚が適量のようですが、大磯さんのメタゲームに見るように、現環境の《抹消》の重要性は非常に低いとも言えます。ただ、青系デッキの存在も否めないので、1枚程度のメイン採用が適量だと判断しました。1枚あるだけでプレイングの締まりがぜんぜん違いますからね。
第2回に続きます。
テーマは「現代メタゲームにおける《亡霊の牢獄》の有効性」についてです。前回の放送では、ファイナルズ後のメタゲームの変遷を
現状のメタ内デッキを調査してみると、『フィニッシュを大量アタックに頼っている』という特徴が浮かび上がってきます。緑コンの《創造の標》《粗野な覚醒》しかり、ワークスの《マイアの保育器》、青コンの《曇り鏡のメロク》などなどですね。メタの本命たる親和も、主な勝利パターンは序盤の大量展開によるテンポアタックです。
では、このようなメタゲーム環境において、《亡霊の牢獄》の有効性を検証してみましょう。
まず、対親和では《亡霊の牢獄》+《機械の行進》ロックは明確な勝ちパターンとして成立します。《亡霊の牢獄》の欠点として、「高パワー生物による一点突破に弱い」点が挙げられますが、対親和での《頭蓋囲い》の存在は非常に脅威的です。しかし、《機械の行進》により《頭蓋囲い》が生物化してしまうので装備が成立しません。また、《機械の行進》のマナロックにより土地が伸びませんので、《亡霊の牢獄》によるロックが緩むこともありません。よって、即座に親和を投了に追い込める程のインパクトをもたらします。
では、対緑コンではどうでしょう。《亡霊の牢獄》は相手の《粗野な覚醒》を完全な無駄カードに追い込み、《創造の標》の効果も半減させます。マナソースが豊富な緑コンでは、それでも《亡霊の牢獄》を乗り越えて生物の突破を許してしまうかもしれませんが、緑コンの生物は1匹1匹の粒が小さく、致命的な打撃にはなりません。不死生物化した《ダークスティールの鋳塊》や《清純な生物》によるブロックで簡単に凌げます。
対ワークスでは、あまり《マイアの保育器》までつながれるのを許してしまうのもアレですが、トークンによるフルアタック戦略は《亡霊の牢獄》→《神の怒り》で対処できます。
このような検証から、《亡霊の牢獄》はメタゲーム上非常に有効であると評価できるのではないでしょうか。
それでは、有効性が確認できたところで実際にデッキの設計に入りましょう。
まず、ベースとなるのは、過去に何度か取り上げた青白DS抹消です。マイコシンス型でない理由は、緑の隆盛を鑑みてアーティファクト破壊に脆弱な要素を取り除きたかったからです。そう、アーティファクト破壊の対象を一切入れないことにより、相手の《酸化》《ヴィリジアンのシャーマン》を潜在的に無駄カードに仕立て上げる戦略です。
ある程度ベースが固まっているデッキですので、あまり弄るところは在りませんが、変更点として重要なのがフィニッシャーの選定です。過去の青白DS抹消はフィニッシュを《機械の行進》+《ダークスティールの鋳塊》コンボに頼ってましたが、《頭蓋の摘出》で《機械の行進》を抜かれる可能性を考えると非常に危険です。よって追加のフィニッシャーを3枚程度用意するのですが、ここは、ファイナルズの大磯さんの青赤ノン抹消を倣って、生物2+《袖の下》1という構成にしてみます。生物の部分は、対緑において《北の樹の木霊》すら受け止めるスペックを買って《清純な天使》を選びました。《曇り鏡のメロク》も魅力的(メロク的?)ですが、《抹消》との相性の悪さを苦慮して不採用となりました。
あとは《抹消》の枚数の決定を行いましょう。過去の事例を紐解くと、2枚が適量のようですが、大磯さんのメタゲームに見るように、現環境の《抹消》の重要性は非常に低いとも言えます。ただ、青系デッキの存在も否めないので、1枚程度のメイン採用が適量だと判断しました。1枚あるだけでプレイングの締まりがぜんぜん違いますからね。
第2回に続きます。
特集:《亡霊の牢獄》をプロパガンダする 第2回
2005年1月9日 スタンダードでは、出来上がったデッキを見て頂きましょう。
クリーチャー3
2:《清純な天使/Pristine Angel》
1:《袖の下/Bribery》
スペル33
4:《卑下/Condescend》
3:《邪魔/Hinder》
4:《亡霊の牢獄/Ghostly Prison》
4:《機械の行進/March of the Machines》
4:《神の怒り/Wrath of God》
1:《抹消/Obliterate》
2:《原野の脈動/Pulse of the Fields》
4:《ダークスティールの鋳塊/Darksteel Ingot》
4:《血清の幻視/Serum Visions》
3:《知識の渇望/Thirst for Knowledge》
土地24
4:《ミラディンの核/Mirrodin’s Core》
2:《沿岸の塔/Coastal Tower》
8:《平地/Plains》
10:《島/Island》
サイドボード15
4:《秘宝の障壁/Relic Barrier》
1:《邪魔/Hinder》
3:《頭蓋の摘出/Cranial Extraction》
1:《抹消/Obliterate》
2:《袖の下/Bribery》
4:《呪師の弟子/Jushi Apprentice》
《原野の脈動》は久しく見なかったカードですが、《天使》をアンタップさせるために採用しました。緑系デッキによく効きます。カウンターのスロットは7枚と押さえ気味です。このデッキはパーミッションではなく、コントロール/ロックに分類されるので、あまり多くカウンターを積んでも撃つ隙がないでしょう。《死の雲》《歯と爪》などの真に脅威となるカードだけカウンターできる量で充分なのです。
《血清の幻視》はカルステンが酷評していましたが、それはあくまでパーミッションデッキでのことです。より早くロック要素を掘り進まなければならないこのデッキでは、なかなかの選択肢です。また《知識の渇望》は、捨てるアーティフアクトがない点で《集中》の方が優れて見えるかもしれませんが、《天使》をアンタップできる可能性により選定しました。
それでは、最後にマッチアップ解析を行います。
◎親和
前述の《亡霊の牢獄》+《機械の行進》が突き刺さるため、非常に有利なマッチアップです。相手のセットランドが茶土地だった時点で、「ムフフ・・」と心の中でほくそ笑んで下さい。メインでボッコ、サイド後でフルボッコです。
○緑コン
相手は茶破壊や《粗野な覚醒》と、無駄カードを大量に抱えている点で有利です。そう、《亡霊の牢獄》さえ張れば、フルタップでの《清純な天使》キャストすら肯定されるのです。サイド後の《呪師の弟子》は、除去の少ない緑コンにいやらしく効きます。
△黒緑デスクラウド
《亡霊の牢獄》ストラテジーがあまり効かないないため、そこまで有利とはなりません。《鼠の短牙》などの手札破壊まで積んでいると、かなり辛いです。ただし、《死の雲》と《黒瘴》さえ弾けば脅威となるスペルは多くないので戦えないことはないです。
◎ワークス
《機械の行進》を張るタイミングさえ間違えなければ負ける要素が見当たりません。相手が2ターン目に《タリスマン》を置いたら心の中で「ムヒョー♪」と小躍りして下さい。サイド後は《秘法の障壁》で相手の青マナを寝かせられるので更に有利です。
○ポンザ
2ターン目に撃てるカウンターが少なめなので、先手を取られるとテンポに巻き込まれて死亡します。序盤さえしのぎ切って場が安定してしまえば、あまり不利な要素はありません。
△赤緑コン
序盤のランデスで青マナを絞られてフィニッシャーを通されるのが主な負けパターンです。《血清の幻視》を撃つタイミングをきちんと考え、《マナ漏出》を匂わせるプレイングなどで、序盤を凌いで下さい。《亡霊の牢獄》でとめて《神の怒り》で流すのが基本です。
×トロン
トロンは環境に居ないと割り切って、このデッキをトーナメントに持っていって下さい。いろいろサイドインしても、勝率が5割を上回ることはないでしょう。当たったらご愁傷様ということでひとつ。
○青緑コン
ほぼ緑コンと々理由で勝てます。ただ、カウンターの分、若干《天使》が出しにくいのでタイミングを見計らって下さい。
如何でしょうか。《亡霊の牢獄》を使ってみたくなってきませんか?
メタゲームの上で、《亡霊の牢獄》の有効性を理解して頂けたところで今回の空想科学理論講座を終了させて頂きます。それでは、また会う日まで。
参考資料:
大磯さんのの青赤ノン抹消
http://www.wizards.com/default.asp?x=mtgcom/daily/bd157
カイ・ブッディの青赤抹消
http://www.wizards.com/default.asp?x=mtgevent/worlds04ja/blog1#8
フランス選手権04トップ8の青白抹消
http://www.brainburst.com/db/deck.asp?deck_id=4285
クリーチャー3
2:《清純な天使/Pristine Angel》
1:《袖の下/Bribery》
スペル33
4:《卑下/Condescend》
3:《邪魔/Hinder》
4:《亡霊の牢獄/Ghostly Prison》
4:《機械の行進/March of the Machines》
4:《神の怒り/Wrath of God》
1:《抹消/Obliterate》
2:《原野の脈動/Pulse of the Fields》
4:《ダークスティールの鋳塊/Darksteel Ingot》
4:《血清の幻視/Serum Visions》
3:《知識の渇望/Thirst for Knowledge》
土地24
4:《ミラディンの核/Mirrodin’s Core》
2:《沿岸の塔/Coastal Tower》
8:《平地/Plains》
10:《島/Island》
サイドボード15
4:《秘宝の障壁/Relic Barrier》
1:《邪魔/Hinder》
3:《頭蓋の摘出/Cranial Extraction》
1:《抹消/Obliterate》
2:《袖の下/Bribery》
4:《呪師の弟子/Jushi Apprentice》
《原野の脈動》は久しく見なかったカードですが、《天使》をアンタップさせるために採用しました。緑系デッキによく効きます。カウンターのスロットは7枚と押さえ気味です。このデッキはパーミッションではなく、コントロール/ロックに分類されるので、あまり多くカウンターを積んでも撃つ隙がないでしょう。《死の雲》《歯と爪》などの真に脅威となるカードだけカウンターできる量で充分なのです。
《血清の幻視》はカルステンが酷評していましたが、それはあくまでパーミッションデッキでのことです。より早くロック要素を掘り進まなければならないこのデッキでは、なかなかの選択肢です。また《知識の渇望》は、捨てるアーティフアクトがない点で《集中》の方が優れて見えるかもしれませんが、《天使》をアンタップできる可能性により選定しました。
それでは、最後にマッチアップ解析を行います。
◎親和
前述の《亡霊の牢獄》+《機械の行進》が突き刺さるため、非常に有利なマッチアップです。相手のセットランドが茶土地だった時点で、「ムフフ・・」と心の中でほくそ笑んで下さい。メインでボッコ、サイド後でフルボッコです。
○緑コン
相手は茶破壊や《粗野な覚醒》と、無駄カードを大量に抱えている点で有利です。そう、《亡霊の牢獄》さえ張れば、フルタップでの《清純な天使》キャストすら肯定されるのです。サイド後の《呪師の弟子》は、除去の少ない緑コンにいやらしく効きます。
△黒緑デスクラウド
《亡霊の牢獄》ストラテジーがあまり効かないないため、そこまで有利とはなりません。《鼠の短牙》などの手札破壊まで積んでいると、かなり辛いです。ただし、《死の雲》と《黒瘴》さえ弾けば脅威となるスペルは多くないので戦えないことはないです。
◎ワークス
《機械の行進》を張るタイミングさえ間違えなければ負ける要素が見当たりません。相手が2ターン目に《タリスマン》を置いたら心の中で「ムヒョー♪」と小躍りして下さい。サイド後は《秘法の障壁》で相手の青マナを寝かせられるので更に有利です。
○ポンザ
2ターン目に撃てるカウンターが少なめなので、先手を取られるとテンポに巻き込まれて死亡します。序盤さえしのぎ切って場が安定してしまえば、あまり不利な要素はありません。
△赤緑コン
序盤のランデスで青マナを絞られてフィニッシャーを通されるのが主な負けパターンです。《血清の幻視》を撃つタイミングをきちんと考え、《マナ漏出》を匂わせるプレイングなどで、序盤を凌いで下さい。《亡霊の牢獄》でとめて《神の怒り》で流すのが基本です。
×トロン
トロンは環境に居ないと割り切って、このデッキをトーナメントに持っていって下さい。いろいろサイドインしても、勝率が5割を上回ることはないでしょう。当たったらご愁傷様ということでひとつ。
○青緑コン
ほぼ緑コンと々理由で勝てます。ただ、カウンターの分、若干《天使》が出しにくいのでタイミングを見計らって下さい。
如何でしょうか。《亡霊の牢獄》を使ってみたくなってきませんか?
メタゲームの上で、《亡霊の牢獄》の有効性を理解して頂けたところで今回の空想科学理論講座を終了させて頂きます。それでは、また会う日まで。
参考資料:
大磯さんのの青赤ノン抹消
http://www.wizards.com/default.asp?x=mtgcom/daily/bd157
カイ・ブッディの青赤抹消
http://www.wizards.com/default.asp?x=mtgevent/worlds04ja/blog1#8
フランス選手権04トップ8の青白抹消
http://www.brainburst.com/db/deck.asp?deck_id=4285